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2023.11.21

事業承継と小規模企業共済

独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下、中小機構)は、中小企業の皆様に様々なサービスを提供しています。その中で特に多くの方にご利用いただいているサービスが、「小規模企業共済」です。今回は、事業承継における活用方法を交えながら、小規模企業共済についてご紹介します。

目次

1.小規模企業共済とは

小規模企業共済は小規模企業共済法に基づいて1965年に発足した制度で、2023年3月末時点で約162万人が加入しています。

「共済」とは、「互いに助け合う」という意味です。小規模企業共済は、小規模事業の経営者が毎月少しずつお金を出し合って、それを中小機構が運用します。そして、経営者が高齢になったときや引退するときに、お金を受け取れるようにする、いわば小規模事業者のための退職金制度ともいえるものです。

 

【画像1】小規模事業者の頼れる味方

2.加入のメリット

加入のメリットとして、まず、掛金全額が所得控除となる点が挙げられます。例えば課税される所得金額が500万円で、掛金が月1万円の場合、年間で3万6,500円の節税となります。以下のページから節税額や共済金の受け取り額を試算できます。

<https://www.smrj.go.jp/skyosai1/simulator/index.php>

【画像2】加入シミュレーション(イメージ)

また、共済金を受け取る際も、一括受け取りの場合は、退職所得となり退職所得控除が適用されます。例えば20年掛金を納付いただいた場合は、受取共済金のうち800万円には税金が課されません。

掛金月額は1,000円から7万円の間で、500円刻みで自由に設定できます。また、増額・減額も行えますので、経営状況に合わせて、無理なく長く加入し続けられる仕組みになっています。

3.加入資格

小規模企業共済は、個人事業主とその共同経営者(※)、会社等役員が加入できます。また、業種ごとに従業員数による加入資格があります。以下の図をご確認ください。

加入資格を満たすうちに加入いただければ、後に事業が拡大して従業員数が基準を超えても、加入し続けることができます。

※共同経営者とは、事業主とともに経営に携わっている方で次の①②をともに満たす方となります。

①「事業の経営において重要な意思決定をしている、または事業に必要な資金を負担している」

②「事業の執行に対する報酬を受けている」

【画像3】加入資格

また、個人事業の事業主や法人の代表以外にも、個人事業主の場合は事業の経営に携わる共同経営者(個人事業主1人につき2人まで)、法人の場合は役員も同時に加入できます。

(参考URL)小規模企業共済の加入資格

<https://www.smrj.go.jp/kyosai/skyosai/entry/eligibility/index.html>

4.事業承継における活用

小規模企業共済は、個人事業の共同経営者や会社の役員も加入できるので、例えば後継者が共同経営者や会社の役員になっている場合、現経営者に加えて、後継者も加入いただけます。

個人事業において、現経営者に加えて、後継者が共同経営者として小規模企業共済に加入している場合、現経営者が引退されるときの共済契約の取り扱いは以下の選択肢があります。

【画像4】個人事業主の承継パターン

※同一人通算、承継通算の手続きに際しては要件があります。詳しくは記事下部に記載の共済相談室(コールセンター)にお問い合わせください。

会社において、現経営者に加えて後継者が役員として小規模企業共済に加入している場合は、現経営者は退任される際に共済金を受け取り、会社の役員である後継者はそのまま加入を継続することができます。

小規模企業共済は長く加入した人が、受け取れる共済金・退職所得控除ともに大きくなりお得ですので、後継者は早めの加入をおすすめします。

また、積み立てた掛金の範囲内で事業資金などを貸し付ける制度があります。特に事業承継に必要な資金を年0.9%の利率(2023年11月時点)で貸し付ける「事業承継貸付け」もあり、必要に応じて活用できます。

(参考URL)事業承継貸付け

<https://www.smrj.go.jp/kyosai/skyosai/about/loan/06.html>

5.「もしも」のときの備えとして

事業承継をきっかけに、災害時の対策を見直すこともおすすめです。事業承継の準備をすることと、災害時の対策を練ることは、業務や経営資源の把握・見直しが必要という点において共通しているからです。

小規模企業共済では、先述の融資制度において災害時に低利率で貸付も行っています。

2023年7月に九州北部に降った豪雨は、河川の氾濫や土砂災害をもたらしました。

このような災害が起きた場合、小規模企業共済の契約者は、特別貸付を受けることができます。2023年7月の豪雨の場合、九州では15の自治体に事業所を有する契約者を対象に、年0.9%の利率で貸付を行っています。

また、新型コロナウイルスの流行時には、業況が悪化した契約者を対象に、無利子の特例緊急経営安定貸付けや、貸付けの延滞利子の免除の措置も講じました。

このように、小規模企業共済は「もしも」のときの備えとしても有効です。

(参考URL)令和5年7月7日からの大雨による災害にかかる被災小規模共済契約者対策について

<https://www.smrj.go.jp/kyosai/info/ool3bn000000ff9v.html>

(参考URL)新型コロナウイルス感染症にかかる小規模企業共済制度の特例措置について

<https://www.smrj.go.jp/kyosai/info/disaster_relief_r2covid19_s.html>

6.加入方法

2023年11月現在、オンライン、またはお近くの委託団体(商工会・商工会議所など)・代理店(金融機関)の窓口で加入いただけます。

オンライン加入の場合は、下記URLから手順書を確認し、加入手続きを行います。なお、手続きにはマイナンバーカードが必要です。オンライン加入の場合は、ゆうちょ銀行や、一部ネット銀行も掛金引き落とし口座に指定いただけます。オンラインなので、時間や場所の制約なく申し込めます。

委託団体・代理店で加入の場合は、必要書類を準備し、近くの委託団体・代理店の窓口で手続きを行います。

(参考URL)オンラインでの加入

<https://www.smrj.go.jp/kyosai/skyosai/entry/online/index.html>

(参考URL)委託団体・代理店での加入手続き

<https://www.smrj.go.jp/kyosai/skyosai/entry/procedure/index.html>

【画像5】小規模企業共済の委託団体・委託代理店

7.まとめ

小規模企業共済は今後も経営を長く担う、後継者に最適な制度です。事業承継の準備の第一歩として、まずは小規模企業共済への加入をご検討ください!

【小規模企業共済サイト】

https://www.smrj.go.jp/kyosai/skyosai/entry/index.html

【共済制度のお問い合わせ先】

共済相談室 050-5541-7171 (平日:午前9時~午後5時)