西日本新聞朝刊2022年(令和4年)07月26日(火)付
独立して創業したい。けれども会社経営の経験はなく、事業継続への不安は大きい。いまこが動物病院はそんな悩みを乗り越えて2021年10月、遠賀町に開業。数少ない動物病院として、既になくてはならない存在となっている。 院長の河野博紀(こうのひろのり)さん(41)は大学で獣医学を学び、獣医師免許を取得。その後、大阪府内の動物病院や大学病院などで7年間経験を積んだ。この経験を生かし、飼い主への心配りを徹底した医院を開きたいと創業を検討。しかし、事業継続への不安から踏み切れずにいた。 そんな折、後継者不在で事業継続が困難となっている動物病院の存在を知る。河野さんは、独立を支援する動物病院専門のM&A(合併・買収)仲介会社の協力を得て、前院長と交渉。従業員も河野さんの経営を積極的にサポートしてくれると分かり、大阪府から福岡県への移住、そして事業承継を決意した。 前院長から営業権を買い取り、屋号を変えず、従業員をそのまま雇用して事業を引き継いでスタートする、いわゆる「継ぐスタ」での創業。継ぐスタは今後の事業承継、創業の新たな形としてますます注目される。前病院の歴史を尊重しながら新しい風を取り入れようという、いまこが動物病院は、その好例だろう。 専門は犬、猫の診療で、総合診療(特に腫瘍関連及び軟部外科)が得意分野だ。今後、さらに飼い主に寄り添った、医院づくりを目指す。(日本政策金融公庫八幡支店国民生活事業・茂良輔)