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2024.03.22

後継者不足の経営者と未来の起業家をマッチングする「後継者人材バンク」とは?

経営者の高齢化に伴い、深刻化している中小企業の後継者不足。後継ぎがいないことで廃業を余儀なくされる事業者も少なくありません。そこで今回は、後継者がいない経営者と起業を希望する個人のマッチング制度「後継者人材バンク」について紹介します。

目次

第三者承継のマッチング制度「後継者人材バンク」

「後継者人材バンク」とは、小規模事業者(主に個人事業主)の後継者不足を解決するために2014年からはじまったマッチング制度です。各都道府県に設置されている「事業承継・引継ぎ支援センター」を通じて利用することができます。親族や従業員の中に後継ぎが不在で第三者に事業を譲りたいと考える事業者と、これから起業を志す人材をつなげ、ヒアリングから成約までをサポートします。

「後継者人材バンク」は2020年には全国48箇所の「事業承継・引継ぎ支援センター」に設置されました。2022年度には累計登録者数が約7,000人、累計成約件数が235件と、登録者やマッチングの実績件数も増えています。
参照:「令和4年度 事業承継・引継ぎ支援事業の実績について

「後継者人材バンク」のメリット・デメリット

「後継者人材バンク」のマッチングは、後継者不在の事業者と新しく起業を考える人の両者にメリットがある一挙両得な取り組みです。一方で、条件面の調整や取り決め、ゼロから起業するよりも自由度が低いなどのデメリットも挙げられます。

・メリット
後継者不在の事業者にとっては意欲のある後継者に事業を引き継ぐことができます。これから起業したいと考える人にとっては、顧客や仕入れ先、店舗等の経営資源を引き継ぐことができ、起業のリスク、コストを低減させることができます。

・デメリット
第三者承継は企業の背景を理解している親族や従業員への承継とは異なり、創業者の思いを引き継ぐのに時間がかかる場合があります。また、様々な条件面での取り決めを行ったり、経営方針を擦り合わせたりする必要があり、引き継ぐ側はゼロから起業する場合と比較して自由度が低く、前経営者との調整が必要です。

マッチングの流れ

後継者を募集したい事業者(後継者不在事業者)は、自分が住んでいる都道府県の「事業承継・引継ぎ支援センター」に問い合わせ、専門家との面談を行って事業承継・引継ぎ支援センターのデータベースに企業情報を登録します。起業希望者も、まずは「事業承継・引継ぎ支援センター」の専門家と面談を行い、希望条件を提示して後継者人材バンクに登録します。

登録された後継者不在事業者の情報は起業希望者側に配信され、関心を持つ起業希望者が現れたら、詳細資料を開示して、事業承継・引継ぎ支援センターの仲介のもと、マッチングを進めます。面談を経て最終条件が合致すればマッチングが成立します。

譲受を希望する起業家が条件を開示した上で登録し、センターの専門家が後継者不在事業者・起業希望者双方のサポートをしてくれるため、互いに自分の理想に近い引継ぎができるのも「後継者人材バンク」の特徴です。志高い後継ぎだからこそ、経営者も納得してこれまで大切にしてきた経営資源を引き渡すことができます。

「事業承継・引継ぎ支援センター」では全国の情報共有が行われているため、遠隔地間でのマッチングも可能です。「後継者人材バンク」の詳細は下記ポータルサイトをご覧ください。

事業承継・引継ぎ支援センター「後継者人材バンク